医師と脳の病気

脳とは全ての生命活動を支配し、非常に特殊性・重要性を持った器官です。思考・記憶・行動・感情は全て脳が作り出し、運動・触覚・嗅覚・味覚・視覚・聴覚の調整を行い、身体その他全てをコントロールする言わば司令塔です。脳の重さは約1,300〜1,400gあり、体重全体から考えるとおよそ2%の体構成率しかありません。しかし脳のエネルギー消費量は全基礎代謝量の約18%を占め、酸素消費量は体全体の約20〜25%(赤ちゃんや子どもの場合は約50%)にも上ります。そして脳のエネルギー消費・酸素供給のためには心拍出量の約15%にも上る血液を必要とします。つまり大量のエネルギーを消費する脳においては多量の血液の絶え間ない供給が必要なのです。そのため、脳に血液が流れない…、行き届かない…、という脳に起きる障害や病気は、脳の働きに大きく影響し、血液が止まれば数秒で意識を失い、数分間で神経細胞は死んでしまいます。

脳の病気には、血栓(血の塊)によって脳の血管が詰まりそれより先の脳細胞の働きが損なわれる「脳梗塞」、脳内にできた動脈瘤が破裂して出血を起こし意識障害や麻痺などの症状を起こす「高血圧性脳内出血」、脳内の動脈が破裂して出血が起こる「くも膜下出血」、脳の神経細胞が変性し脱落してしまう「アルツハイマー病」、大脳へ血液を送る頚動脈の閉塞や狭窄により麻痺や意識障害が出る「もやもや病」などがあります。こうした脳の血管障害による年間の死亡者数は約130万人となっており、そのうち脳梗塞が原因で亡くなる人は60%以上を占めます。

脳梗塞とは、脳の血管が何らかの原因で細くなったり、詰まることによって脳細胞へ十分な酸素や栄養分が行き届かなくなり、脳細胞が壊死してしまう病気です。脳梗塞の原因には、高血圧などにより脳の細い血管に継続的な圧力がかかり、徐々に血管壁が厚くなって血流を妨げたり、糖尿病や脂質異常症によって脳内血管の動脈硬化が進行したり、不整脈などで心臓にできた血栓が脳の血管に詰まることで起こります。こうした脳梗塞の状態は、時間の経過とともに拡大していきますが、血管の閉塞によって一度細胞が壊死してしまうと、残念ながら元の状態には回復しません。そのため、このような状態になる前に血管の閉塞を取り除き、できるだけ早い段階で血液の流れを回復させることが必要になります。

治療では血栓溶解薬、抗脳浮腫薬、脳保護薬、抗凝固薬、抗血小板薬などを使った薬物療法や、頚動脈内膜剥離や経皮的血管形成・ステント留置などの外科手術を行います。心身の麻痺や障害を生じた場合にはリハビリテーション治療で機能回復に努めます。

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