医師と膵臓の病気

膵臓は五臓(肝臓・心臓・脾臓・肺・腎臓)六腑(大腸・小腸・胆・胃・膀胱・三焦)にも含まれない、言ってみればマイナーな臓器です。膵臓はみぞおちとヘゾの中間部分に位置し、胃の裏側と背骨の間にあります。大腸・肝臓・脾臓に囲まれた非常に見えにくい、体の奥深くにある臓器のため、膵臓という内臓器官が認識されたのは江戸時代に入ってからだったと言われています。膵臓は細長く、十二指腸側から、膵頭部・膵体部・膵尾部に分かれ、重さは約80gあります。

そんな秘めた存在の膵臓ではありますが、食べた物の消化、胃酸の中和、血液中の糖のコントロールという3つの役割を担います。消化や中和においてはアルカリ性の消化酵素である膵液を膵管から十二指腸へ分泌し、胃酸を中和して消化物をアルカリ性にします。この膵液にはデンプンを分解するアミラーゼ、たんぱく質を分解するトリプシン、脂肪を分解するリパーゼなどの消化酵素を含み、膵臓はこの膵液を1日に約0.7〜2L生成分泌して食物の消化全体をサポートしています。血糖のコントロールではランゲルハンス島と呼ばれる内分泌組織からインスリン・グルカゴン・ソフトスタンチンなどのホルモンを生成し、身体がブドウ糖をエネルギーとして利用するのに働きます。これらのホルモンは膵ホルモンと呼ばれ、インスリンは血糖値を上げ、グルカゴンは逆に血糖値を下げ、この2つのホルモンが身体の状態に合わせて臨機応変に働くことで血液中の糖が一定に保たれます。

膵臓の病気には急性膵炎・慢性膵炎・膵臓ガン・インスリノーマ・糖尿病・ペットボトル症候群などの病気がありますが、その中でも近年急増しているのが膵臓ガンです。1950年代頃と比べると、膵臓ガンを発症する人は年間約2万2,000人と20倍以上に増えており、増加傾向は続いています。膵臓ガンが増えた理由については、検査機器や診断技術が向上し発見率が増えたこともありますが、食生活の欧米化、喫煙、高齢化などライフスタイルと社会環境の変化が大きく影響していることは間違いないようです。

膵臓ガン治療は他のガン治療同様、病変部を切除する手術療法、抗ガン剤による化学療法、放射線照射によりガン細胞を死滅させる放射線療法の3つが基本になります。患者さんのQOLを維持した保存的療法や新しい抗ガン剤など治療方法は改良が進んでいますが、手術が上手くいっても5年生存率は20%、治療次第では生存率7%と、膵臓ガンは治しにくいガンのひとつです。そのため日頃から適度な運動、禁酒、禁煙を心がけ、ガンにならない身体・生活習慣作りが大切です。

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